10ケ月前夢の中でたずねたカフェがあった。
北海道にあるような大きな木造の倉庫で、
1階がアンティーク家具屋、2階がカフェ。
ちょっと雰囲気が一乗寺の葡萄ハウス家具工房に似てるような感じ。
時は真冬。道に迷ったわたしは、
暖かな灯りがこぼれるお店に吸い込まれるように入ってゆき
ストーブの傍らのスウェーデン製の安楽椅子に腰掛けて
大きなブランケットにくるまって
ホットワインで冷えたからだを温めながら
ムーミンの本を読むという夢を見た。
今日は、北ならまちと呼ばれる界隈、
奈良女子大学の正門ななめ向かいにある
古びたなぞの神社の前を歩いているとき、
ふと見ると
奈良女子大の正門前の通りの向こうに
かつて夢の中で迷い込んだ木造のカフェが
10ケ月前と変わらない様子でオープンしているのが見えた。
わたしはふらふらとそのまま歩いていって、
「10ケ月ぶりなんです」
「10ケ月ぶりですよね」
と話ながら、同じホットワインをオーダーして、
またムーミンの本を読むという
そんな音のない静かな夢を見た。
夢の中にも地図があるみたいで、町のつくりも詳細だった。
夢から醒めたわたしは、
しばらく自分の置かれている状況がわからなくて、
ホットワインに添えられた枝つきのレーズンとミモレットが
とってもおいしかったなんてぼんやり思い出していた。

