04/09: 喫茶ソワレ―京都
京都のレトロ喫茶といえば外せないのがここ、喫茶ソワレ。高瀬川沿いにたたずむ小さな山小屋のような木造二階建てのお店で、今年で創業62年目。2代目のオーナーが守り抜くのは、静謐の美。アールヌーヴォー風のアンティークなランプや壁に巡らせた一刀彫りの植物のモチーフ(彫刻家・池野禎春氏の作品)が経る年月を想わせます。装飾は大方葡萄がメインモチーフになっていて、窓辺を飾るランプはほんとうにいつ見てもため息が出るほどすてきです。

メニューの表記も小洒落ていて、「コーヒーのためいき」「ゼリーの誘惑」という名付けが興味をそそります。1階には東郷青児の絵が飾られ、月に二度入れ替えるというソワレのオリジナルカードには佐々木良三や中井史郎の描く少女の絵があしらわれていて、集めたくなってしまうほど。
お店の入り口には歌人・吉野勇の詠歌「珈琲の香にむせひたるゆふへより ゆめみるひととなりにけらしな」が掲げられています。

桜の時期はこのソワレの窓際が天下の特等席。夢見心地で桜の天蓋の下を行き交う人たちを眺めていると、「清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき」(与謝野晶子『みだれ髪』所収)が脳裏に浮かび上がってきます。
宇野千代の小説が好きで読み続けていた10年前、宇野千代と一時同棲していた画家・東郷青児の存在を知りました。マグマのような不敵な目と、常人には謀り知れないような激しさを、丹田のあたりでぐぐっと堪えているような東郷の風貌は、一度見たら忘れられるものではありません。
その東郷は後に日本の美術界で位人臣を極めますが、宇野と暮らした当時は生活のためにあらゆる少女画を描きまくり、売りまくりしたのだと宇野の本で知りました。東郷の絵は東京・吉祥寺の喫茶ボア(閉店)でも店のシンボルとして使用されていましたが、このやさしく嫋々とした儚げな少女の絵が、東郷の中に宿るなにがしかの優しさの表象なのか、それとも生きるための手段であったのか。
東郷は本当にこうした絵を描きたかったのかと、いつも不思議な想いに囚われてながら見つめざるを得ません。

この少女たちの本来のモデルは、身分違いの恋に墜ちて情死をはかり、後に許されて夫婦となって添い遂げた令嬢・盈子の面影だったのかしらと、宇野の『色ざんげ』を読んでは勝手な想いを馳せています。

ゆめもかもうつつのきらのまどろみのふかみにつみぬさくらふるよる
さくらいかほ
京都市下京区西木屋町上ル
075-221-0351
12:00~22:30 月曜定休
京都市下京区西木屋町上ル
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apa apa cafe―奈良
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純喫茶アメリカン―大阪>
メニューの表記も小洒落ていて、「コーヒーのためいき」「ゼリーの誘惑」という名付けが興味をそそります。1階には東郷青児の絵が飾られ、月に二度入れ替えるというソワレのオリジナルカードには佐々木良三や中井史郎の描く少女の絵があしらわれていて、集めたくなってしまうほど。
お店の入り口には歌人・吉野勇の詠歌「珈琲の香にむせひたるゆふへより ゆめみるひととなりにけらしな」が掲げられています。
桜の時期はこのソワレの窓際が天下の特等席。夢見心地で桜の天蓋の下を行き交う人たちを眺めていると、「清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき」(与謝野晶子『みだれ髪』所収)が脳裏に浮かび上がってきます。
宇野千代の小説が好きで読み続けていた10年前、宇野千代と一時同棲していた画家・東郷青児の存在を知りました。マグマのような不敵な目と、常人には謀り知れないような激しさを、丹田のあたりでぐぐっと堪えているような東郷の風貌は、一度見たら忘れられるものではありません。
その東郷は後に日本の美術界で位人臣を極めますが、宇野と暮らした当時は生活のためにあらゆる少女画を描きまくり、売りまくりしたのだと宇野の本で知りました。東郷の絵は東京・吉祥寺の喫茶ボア(閉店)でも店のシンボルとして使用されていましたが、このやさしく嫋々とした儚げな少女の絵が、東郷の中に宿るなにがしかの優しさの表象なのか、それとも生きるための手段であったのか。
東郷は本当にこうした絵を描きたかったのかと、いつも不思議な想いに囚われてながら見つめざるを得ません。
この少女たちの本来のモデルは、身分違いの恋に墜ちて情死をはかり、後に許されて夫婦となって添い遂げた令嬢・盈子の面影だったのかしらと、宇野の『色ざんげ』を読んでは勝手な想いを馳せています。
ゆめもかもうつつのきらのまどろみのふかみにつみぬさくらふるよる
さくらいかほ
京都市下京区西木屋町上ル
075-221-0351
12:00~22:30 月曜定休
京都市下京区西木屋町上ル
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Comments
花鳥 wrote:
おことばに甘えてブログを訪問させていただきました…!某研究会でご一緒した服部です。
喫茶ソワレ。とても「乙女」な空間ですね。噂には聞いていましたが…
櫻井さんの、お店を紹介する文章もすてきです。
また、ときどき訪れさせていただきます。
それでは。
喫茶ソワレ。とても「乙女」な空間ですね。噂には聞いていましたが…
櫻井さんの、お店を紹介する文章もすてきです。
また、ときどき訪れさせていただきます。
それでは。
08/12 01:56:01
sakurai wrote:
>服部さん、お返事が遅れました。
ソワレはとってもすてきなお店ですよ。
ちょっと周囲の景観が残念なんですが…。
ちかくには築地、フランソアなどのカフェもあり
おすすめです。また折々アップしますので
またごらんくださいね。
ソワレはとってもすてきなお店ですよ。
ちょっと周囲の景観が残念なんですが…。
ちかくには築地、フランソアなどのカフェもあり
おすすめです。また折々アップしますので
またごらんくださいね。
10/04 23:36:36
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Nっち wrote:
地図なおす、よろし。