12/17: パビリオンブックスカフェ―奈良

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建物に威圧感や壮大なスケールや、その技巧の巧みであることに感心したことはあるのですが、ただそこにいるだけで涙がこぼれそうになるほど静かに心を揺さぶられる家屋に生まれてはじめて逢いました。
それがパビリオンブックスカフェです。
もとはと言えば、2年前に恵文社一乗寺店パビリオンブックスさんの展示会を拝見し、メッセージノートにメモを遺したご縁でメルマガが届くようになり、
わたしはecritを始めたばかりで色々思案中だった同時期だったので、
まずパビリオンブックスさんのHPとリンクを張らせていただくご縁を得て、
更にブログを通してやりとりをして…というあらましで、実は一度もお会いしたことがないままおうかがいしたのでした。
パビリオンブックスカフェは旦那様=隊長、奥様=社長の呼び名で上下関係ドローの大西夫妻がGallery out of placeの物置になっていた古い長屋を買い取り(お隣同士なのです)、なんと3年半にも及ぶDIYの末に、11月7日オープンされました(我が家がツレアイを隊長と呼ぶのは大西夫妻に因みます)。
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もとギャラリーマネージャーの隊長が長屋の材木のうち使えるものは余さず使用して創ったお店。「サイン、コサインとか、高校の時は何に必要なのかよくわからなかったけど、自分で設計書描いてみたら案外理解できた」とおっしゃる隊長サマ。算数力小学3年生のわたしには想像を絶するご発言でございます。
この隊長がまた眉目秀麗の美男子。
絹のお肌に整った知的な鼻梁。涼しい目つき。そしてなによりも声!
声が静かに深くて、思索的。また話し方もとっても紳士的で配慮が深く、なんともすてきな方なのです。墨染めの僧衣が似合いそうです。
東京から嫁いで来られた奥様=社長は、そんな隊長をとてもとてもとても尊敬し、愛していらっしゃることが拝せられました。社長は明るくお話しがとてもはずむ、心配りの行き届いたすてきな方で、お二方はほんとうにすてきでお似合いのご夫婦でした。いろんな夫婦に出会いますが、「あこがれる・かくあらまほしき夫婦の姿」ダントツ1位です。
すばらしき哉、大西夫妻。
お互いにお人柄がしっかり自立なさっているからこそ、あんな風にすてきなカップルになれるのですね。あこがれます+尊敬します。
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店舗となった長屋の築年数ははっきりとわからないそうですが、壁紙に混ぜ込まれていた新聞紙の日付が昭和15年であったことから、すくなくとも同時代以降のものと察せられます。となると築70年ぐらい?
隊長は長屋に使用されている材木をできるだけ捨てず、削ったり、磨いたりして再利用されました。壁際の長椅子はもと縁側であったものだとか。
「時間をかけて創られたものは、時間をかけて残ってゆきます」という大西夫妻の言葉に胸がじーん。あちこちに収納のしかけがある店内は隊長の頭脳の粋を尽くした意匠。お話を聞いてはただ感心するばかりの、算数能力小3のわたし。わたしの出た私立高校は私立文系を志望すると数Ⅰの半分で履修を終えるのですが、あのオサラバした数Ⅰの先の先に、この設計が、そのまだ先には宇宙やIPS細胞があるのであろうなあ、と遙か彼方を思いました。
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現在、パビリオンブックスカフェのメニューはケーキと珈琲、紅茶とシンプルです。
この日いただいたのは小麦粉を使用せず、アーモンドパウダーで焼いた「ガトーショコラ・ナンシー」と珈琲。ぽわぽわしてて、とってもおいしかったです。
食器はすべて、お店の空気に心地よく馴染む品ばかり。
「おいしい豆でおいしい珈琲が煎れられるのは当然だけど、普通の豆でどこまでおいしい珈琲を煎れられるかということの方がぼくには大切だし、そういう目標を持ってます」とおっしゃる隊長は、ほぼ禅僧が禅スピリッツを語る、みたいに高尚なアウラに満ちておりました。気品で光って見えまする。
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このカフェは、その名のとおり社長がオーナーである絵本のネットショップ、パビリオンブックスの実店舗も兼ねています。壁は本棚になっていて、パビリオンブックスが扱う世界の絵本が展示されていて珈琲を愉しみながら読むことができます(一部販売も有)。
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ブログでずっと「パビリオンブックスカフェの建築過程」を追ってきただけに、はじめて訪れた時は感慨もひとしお。隊長と社長が紡ぎ出すパビリオン空間は、「大好き過ぎて、あまり人に知られたくない…」と思うほど、深く静かにあたたかい「おうち」なのでした。


奈良市今辻子町32-5
木曜~日曜
12時~19時

奈良市今辻子町32-5
Gallery out of PLACE―奈良 | index | ほんやら洞―京都

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