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[臙脂の月-1-]

飛火野の地平がまだ闇に紛れている頃、わたしは朝露に湿りながら、そこにいた。 ホテルの部屋を出たのが朝の五時。夜勤の従業員にお早いですねと...

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[臙脂の月-2-]

あの森の中に入ってはいけないと、子どもの頃はここを訪れるたびに言われたものだった。あの森に迷いこんだら、もう二度とおとうさんには会えな...

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[臙脂の月-3-]

夜明け前の森は神韻瀟々としていて、まるで深い水の底に似ている。わたしは、一年間かかって貯めた睡眠薬を持って、その森の中に紛れてゆく。闇と...

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